我々が加入する生命保険の多くは円で保険料を払い、保険金や解約返戻金も円で受け取るのが一般的ですが、外資系生命保険会社を中心にドルなどの外貨で保険料を払い、外貨で保険金や解約返戻金を受け取るものもあります。今回は「ドル建て終身保険」についてそのメリットとデメリットを解説します。
ドル建て終身保険のメリット
マイナス金利導入後、金利が大きく低下してしまいました。それと比べるとアメリカ国債等の金利は若干高いと言えます。そのためドル建ての生命保険は円建ての生命保険と比べると利回りを高く設定しても商品として成り立ちます。
同じ金額の死亡保障をつけるのにドル建てと円建てとで比べれば、ドル建ての保険料の方が安くなります。またドル建て終身の方が解約時のお金(解約返戻金)も多くなります。この2つがドル建て終身保険のメリットになります。
ドル建て資産を持つことの意義
生命保険の話と少しずれますが、ドル資産を持つということは資産分散を図る上で大事な要素です。日本人の多くは日本国内の預貯金や株式投資等円建ての資産は持っているはずです。ドル建て終身保険に加入することはドル資産を持つことを意味します。日本に住み、日本で働き、日本円で資産を持っている我々は知らず知らずのうちに、日本リスクを背負いこんでいます。日本円以外の通貨を持つことは将来何か日本におかしなことが起きた場合のリスクを分散できるという点で大切なことなのです。外貨の中でも、世界で最も流通し最も信頼性の高い通貨ドルを持つことが大切です。ドル建て終身保険に加入する場合、ドル建ての資産を持つことができるということにつながり、これは資産運用を行う上でメリットになります。
ドル建て終身保険のデメリット
ドル建て終身保険のデメリットを挙げると、為替の変動で保険金や解約返戻金が減少する可能性があるという点(為替変動リスク)です。例えば、死亡保険金10万ドル受け取れるような保険に加入したとします。1ドルが100円なら日本円に直すと1,000万円になります。これがもし1ドル80円ならば800万円にしかならないということです。
ただし為替リスクがあるというのはまたメリットにもなりえます。上記とは逆に円高の時に保険料を払い、円安の時に保険金を受け取れば為替差益が得られるからです。
確かに為替変動リスクがあるのはデメリットと言えますが、通貨の分散を図る一環でドル建て終身を持つわけですからそのリスクは許容範囲内だと考えるべきでしょう。